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by pussochkram85

歌舞伎町のこころちゃん


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日本に夏帰ったときに、
妹と会うと、たいていビレバン(http://www.village-v.co.jp/)
をうろついていた。

その時に、手に取った写真集が「歌舞伎町のこころちゃん」だ。
レビューとかはアマゾンで見れます。
気になったら、手にとって見てください。


「歌舞伎町のこころちゃん」は写真家、権 徹 (ゴン・チョル)氏が、
歌舞伎町のコマ劇場前で父親と他のホームレスの人々と暮していた
4歳の女の子、こころちゃんを追った写真集だ。

まず、歌舞伎町なんて、「いかがわしい歓楽街」くらいにしか思っていない私は、
そんな所に、いくら父親と一緒だからとは言え、子供がホームレスと暮しているなんて
事実が平気で「日本」に転がっている事に、衝撃を覚えた。
本気で嘘だと思った。

結論から言うと、こころちゃんは、親から離れ、児童相談所に移り、
もう歌舞伎町には暮していないらしい。


それでも、だ。


写真集をめくるうちに、色んな感情がこみ上げる。
こころちゃんは、写真集の中で、たくさんたくさん、笑顔で写っている。
無理もしてない、自然で明るい笑顔だ。
ただそこから覗く歯は、虫歯だらけで、歯磨きなんて教わった事が
ないんではなかろうか、というくらい汚い。

お風呂もまともに入れない、父親はホームレス仲間と毎日飲んでいる、
母親はたまに来て、おこづかいを渡しに来るだけ。
(育児能力がないのか、収入がたりないのか、
彼女はこころちゃんを父親の元に残し、ひとりで暮していた)
写真には、ホームレスの人々が彼女をかわいがって、
賞味期限がきれた弁当や残飯をもらったり、たまに銭湯に出かけたりする
様子も写っていた。

何なんだ、これは。
怒りと、悲しみと、憤り。ビレバンで一人で泣きそうになったのを覚えている。


写真集には、権氏が父親と話した事も書かれている。
「どうしようもないんだ。お金がないんだ」
父親が繰り返すのはそればかりだった。


ここに書いている事は、私のprejudiceかもしれない。
「幸せ」を図る時、私は必ず上から目線で語っているから。
本当は、こころちゃんはホームレスの人々と共に、結構楽しくやってるのかもしれない。
何もかも恵まれているのに、愛されていない、そういう4歳児だって世界には
いくらでも存在する。
こころちゃんは、父親も一緒で、皆に愛され、幸せなのかもしれない。
でも私は、何かが、おかしいと思った。

この事実を写真で見た時、私は権氏の勇気に感動した。
これを、この現実を写真で残し、本にするということは、
この恐ろしい現実を、大多数にさらす、という行為だ。
こころちゃんの悲しいまでの笑顔を、題材にすることは、
はたして良い事なのか。
きっと悩んだと思う。

おそらく1年程は撮り続けているはずだ。
こころちゃんとも仲良くなっていたはずだ。
どうしてこんな所で4歳児が、暖かい家ではなく、
ダンボールで暮さなくてはならないのか。
愛されて、何の心配もなくすくすく育つべき4歳児が、
残り物の食べ物をもらって生きていて、いいはずがない。
きっとそう思ったはずだ。

ましては日本という、先進国であるはずの、東京という首都で。
こんな現実が普通に転がっている。

そして自分は写真を撮る以外に、何もできない。
他人だから。
くやしかっただろう。悲しかっただろう。
だから出版できたのかもしれない。カメラ越しに見つめた、現実を
知ってほしかったのかもしれない。


父親にも母親にも、勿論非がある。親として責任を持つ事ができる、と
自信があって初めて、子どもを作る事ができると、私は思っている。

だが、「お金がない。仕事がないのだ。どこに行っても仕事がもらえないのだ」
という父親の訴えは、今の日本では不思議ではないセリフになってしまった。

仕事がしたくても、体が悪いとか、学歴がないとかで、仕事が探せない。
医者が必要なのに、お金がないからいけない。
学校にも通えない。
頼るところもない。
お金がないと、住む所もない。
住所がないと、職業を探す事がますます難しくなる。
ホームレスになる。
これが、今の日本の貧困層の現実だ。

東京に住むと、たくさんのホームレスを見た。
何人かと、話もした。
皆、生きて行く事、人間として最低限の事を得るために、必死だった。
ヤク中とかでもない。そんな金もない。

そして、子供がそんな環境で生きていたという事実。
それに、目もくれない周りの「普通の」人々。



これは、絶対おかしい。
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by pussochkram85 | 2009-11-08 09:24 | 明るめ・落ち着きめ