じっとり締め付ける空気をすり抜けて、
生暖かい雨が降る。
窓のガラスに映りこんでいた本当の黒が、やわらかく光る何かと共に、ちらりと眼に映りこむ。
かちり、と脳みその隅っこでスイッチが入る音がしたら、
11月の、風が吹く時。
ちりちりとアスファルトを掠る葉の音と、
きりきりと痛む、空気。
肺いっぱいに吸い込んだら、
削り取られた子宮が、ずるりと垂れ落ちていく音がする。
ああ今すぐそれを聞いてくれたなら。
今すぐ、このつるりとした「魂」という物体をその目の前に晒す事ができるなら。
「それ」はもっともっと単純で、限りある現実として、機能するのだろう。
そして手綱が外れた馬のように、「そうあるべきではないもの」へと変化していくのだろう。
ずるり、ずるり。
駆け上る雲と、息苦しい世界の終わりで、
私はもう一度、11月の風の音を耳にする。
立ちすくんで、湧き出る感情を、ただただ、流し続けていた。
ずるり、ずるり。
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by pussochkram85
| 2010-07-23 02:42
| 詩とか、考えた事